耽美主義に救われた私のおすすめ耽美文学5選【中・上級編】

  • 2020.03.25
耽美主義に救われた私のおすすめ耽美文学5選【中・上級編】

前回は耽美主義をはじめて読む人向けでしたが、おそらく耽美主義が好き(または読んだことある)人には物足りなさすぎたと思うので【中・上級編】です。

1.耽美文学はなかなか見つからない話

耽美文学に慣れ親しんでいる皆さんならわかると思うのですが…

耽美文学は有名作を一通り読むと、その後なかなか見つかりません。

それもそのはずまず、「耽美主義」自体ニッチです。

更に耽美文学と調べるとあまりにも紹介されている作品が被りすぎています。

どこを見ても溢れる谷崎潤一郎とその代表作達。

そんなものはもう聞き飽きた、見飽きた、もっと違う、もっとマニアックなものが読みたい!

そんな人向けの、ちょっとやそっと検索したくらいじゃ絶対に見つからない、耽美にハマって8年目の私が、超「私的」耽美文学を5選しましたよ!

2.私的オススメ耽美文学5選【中・上級編】

谷崎潤一郎『金色の死』

谷崎潤一郎の中でも見落とされがちな大正期の作品です。

後年谷崎自身が嫌った作品でありながら、有名な江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』に影響を与えたとされている耽美文学です。

主人公のお友達岡村君の圧倒的耽美生活と、金箔を塗ったくっての壮絶かつ美麗な死が余すことなく書かれた問題作です。

私が間断なく働いて居る間に、岡村君は間断なく遊び続けました。

谷崎潤一郎『金色の死』

個人的にはこの一文が物凄く耽美で好きです。

岡村君は学問もしなくなっていき、ただひたすら遊び続けるのですが、そこに何も罪悪感なんて抱きません。

そうです、耽美主義者は「こんなに遊び続けてもいいんだろうか…」とか「先が見えない…」とか思いません。

空っぽの表面的な美だけを求めていればそれでOKです。

その思想通り、岡村君は肉体美を求め、遊び歩きます。

その放蕩の果てにある耽美主義者の最後を皆さんどうぞお楽しみください…

渡辺啓助『聖悪魔』

渡辺啓助という作家をご存知でしょうか。

私は7年間の「耽美」検索で見つけることは出来ませんでした。

とある雑誌に載っていたところをようやっと見つけました。

「薔薇と悪魔の詩人」と呼ばれており、耽美主義者大歓喜なキャッチコピーです。

もの凄くまじめな牧師が、自分の悪意を吐き貯めた「悪魔日記」と美少年をきっかけに不思議で妖しい運命に巻き込まれていくお話です。

あの頃のような清らかな美しさの代りに、一種底光りするような頽廃的な美しさがキリリと、彫りの堅い容貌にまとわりついていて

渡辺啓助『聖悪魔』

物語の中でただの美しさとは違った妖しい美しさを放つようになる「美少年」。

更に、「牧師」「悪魔」「日記」と耽美要素満載かつ、わくわくするような怪奇な展開に心を奪われます。

ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』齋藤磯雄・譯

最初に言います。とんでもない話です。

好きな女の子が出来たけど心が醜いなあ…そうだ!肉体から魂を抜き取ってしまおう!

という狂った主人公と、それをかなえてくれるこれまた狂ったエディソン博士のお話です。

日本での知名度はまあまあ低いのですが、フランスの19世紀末に流行った「デカダンス」を理解するうえでとても重要な作品です。

澁澤龍彦とかが絶賛してます。

詳しくは割愛しますが、もう扉の一文で世界観が伝わると思います。最高ですよ。

無常ヲ觀ジテ以テ永遠ヲ探究セヨ

リラダン『未来のイヴ』

リーラ・セフタリ『背徳の聖女』小鷹信光訳

「ホットなフィーリングをのせて世界のポルノグラフィーがやってくる!」で一部層に有名な今は絶版「富士見ロマン文庫」の作品です。

富士見ロマン文庫は外国の官能小説を集めた文庫ですが、これがまたどれも奥が深い!

『背徳の聖女』は扉を開けるように次々と老若男女問わず関係を持っていく女性お話なのですが、彼女の人生哲学がとても刹那的で耽美な感じです。

耽美主義で重要な「官能」という要素に振り切っている感じもとても素敵です。

そんな真っ直ぐな彼女はやっぱり、はたから見ておかしくても、紛れもなく「聖女」なんです。

醜い人間というのは、魂の干上がってしまった人間のことだ。

リーラ・セフタリ『背徳の聖女』

この一文は私の人生ベスト10に入る言葉です。刹那的に燃えよ。

ウニカ・チュルン『暗い春』西丸四方訳

ウニカ・チュルンは人形作家で有名なハンス・ベルメールのパートナーです。

ベルメールの作った人形にそっくりと言われた美貌の彼女。

この小説を書いたのち、この小説と同じように自殺をするという超絶耽美な人生を全うしました。

レース、ペチコート、キャンディ、香水、靴下止め、など、美しい世界観の中、鬱々とした少女の心情が語られます。

表面的な美にこだわった彼女の死が、耽美な世界観を際立たせています。

彼女は自分の一番美しいパジャマをたんすから取り出して着る。

ウニカ・チュルン『暗い春』

自分が死んだら、美しい姿でありたい、皆が彼女に感心して、こんな美しい死んだ子供を見た事がないようにしたい。

ウニカ・チュルン『暗い春』

ちなみに『暗い春』は、上記の『ジャスミンおとこ 分裂病女性の体験の記録』という怪しすぎる本に収録されています。

3.終わりに…注意点(耽美小説失敗談)

今回はめちゃくちゃ王道とは外れた耽美文学を紹介しました。

しっかりとした定義の「耽美主義」からは外れているものもありますがご了承ください。

注意点なんですが、特に『未来のイヴ』。一気に読まないでください。というか、読まないほうがいいです。笑

これは私の失敗談なんですが…

私は『未来のイヴ』を大学のゼミの個人発表の自由課題図書に設定したのですが、発表の前日に読み始めたんですね。

この本、500ページ近くある上に、めちゃくちゃ読みづらいんですよ(泣)。

旧漢字の多さ、話の意味不明さ、起伏の無さ、など…。

それで、耽美主義大好きな私でも一日かけて読み終えた時、ちょっとくじけました…。

なので、耽美主義、嫌いにならないように、一気に読むのはオススメしません…。

今回はこんなところです。

耽美主義がもともと好きな人にも楽しんでもらえてたら幸いです。

耽美小説初級編の記事もあります↓

カテゴリの最新記事