純文学という言葉を使う時、どんなことを思い浮かべるか。
「純文学を読んでみたいけど難しそう…」
という消極的な人もいれば、
「純文学と呼ばれるものを味わい尽くしたい!」
と応戦体制の人もいる。
更には悲しいかな、
「純文学って読んだことあるけどつまんなかった…」
という人もいる。
今回はそういった「純文学」に興味のある様々な人を沼に引きずりこんでしまおうと思う。
私は小学校低学年でミヒャエルエンデ『モモ』を読み、小学校高学年でジャックロンドン『白い牙』を読んでいた。
そう、生粋の純文学大好きっ子だ。
その純文学の沼から這いずりでることも叶わず、今はTwitterで意味不明な文学紹介アカウントを運営し、謎にフォロワーも5800人いる。
だから安心して欲しい。
安心して皆さん、沼に引きずりこまれてください。
今回は、広くいろんな人に読んでもらえるように、「読みやすさ」「沼り度」付きでお送りします。
それではどうぞ。
- 1. 読みやすさ・沼り度付き、おすすめ純文学10選
- 1.1. 【手っ取り早く楽しめる】エドガーアランポー『黒猫』
- 1.2. 【台詞の深みを味わう】遠藤周作『海と毒薬』
- 1.3. 【読ませる魔力の長編】江戸川乱歩『黒蜥蜴』
- 1.4. 【読むドラッグ】夢野久作『死後の恋』
- 1.5. 【圧倒的美文に酔いしれる】川端康成『雪国』
- 1.6. 【ロシアの文豪のユーモア】ゴーゴリ『鼻』
- 1.7. 【芸術至上主義の傑作】芥川龍之介『地獄変』
- 1.8. 【社会主義体制×マゾヒズム】谷崎潤一郎『小さな王国』
- 1.9. 【すべての少年少女へ】大江健三郎『性的人間』
- 1.10. 【世界に誇るプロレタリア文学】小林多喜二『蟹工船』
- 1.11. 【番外編】アルフレッド・ド・ミュッセ『ガミアニ伯夫人』
- 2. 純文学こそ人生に一番作用する話
読みやすさ・沼り度付き、おすすめ純文学10選
【手っ取り早く楽しめる】エドガーアランポー『黒猫』
- 読みやすさ:★★★★★
- 沼り度 :★★★★⭐︎
いきなり「純文学」「大衆文学」の境目がない外国文学から初めてしまった。
しかし、1843年に発表され、今も堂々ポーの代表作として名を残す本作品。
日本の純文学の基準を大いに満たしていると言っても全く問題ないでしょう。
ポーといえば恐怖・幻想・ゴシック。
そのポーの手腕を何よりも早く、何よりも楽しんで知ることができるのがこの『黒猫』です。
なんと言ってもそのページ数!
たった16ページ!
たった16ページに詰まった悪と恐怖のエッセンス。
悪というもの、人の心というもの、それを丸裸にしてしまう。
並外れた作家としての力と、思わずひれ伏してしまいそうになる洞察力。
愛すべき「黒猫」を巡って、そんな人間のおぞましい部分を抉り出します。
無駄な部分というものはまるでなく、ページを繰る手が止まらない。
純文学とは、人の必ずしも優しく清らかな部分を描くものではない。
感動を揺り起こすためのものでも、暇つぶしの娯楽でもない。
むしろその反対の、人の心の恐ろしいもの、隠しておきたいもの、醜いもの、そういうものを描く。
筆者は純文学をそんなふうに思っております。
それをたった16ページで体現したのがこの『黒猫』であります。
その上、誰が読んでも飽きさせず、読みやすい。
純文学のススメとしては外せないものです。
【台詞の深みを味わう】遠藤周作『海と毒薬』
- 読みやすさ:★★★⭐︎⭐︎
- 沼り度 :★★★⭐︎⭐︎
執着はすべて迷いやからな
遠藤周作『海と毒薬』
まずこの言葉の重み。
これこそが純文学の強みなんですよ。
執着が「愛情」だとか、「愛情」じゃないとか、そんなことは誰にでも少し文学かじってる人なら言えるんです。
執着は「迷い」。執着という心理の奥の奥まで、分かった者にしか出来ない発言。
純文学というものの果てしない可能性を感じさせてくれる作品です。
表題は、「神なき日本人の罪の意識」です。
戦争中の捕虜を使った人体実験。
なぜ完全な悪人でもない普通の人間たちがそのようなことに手を染めていったのか。
その心理を、神なき日本人(=無宗教の人の多い日本人)という視点から読み解いた作品です。
罪悪感というキーワードから読み解くもよし、台詞ひとつひとつの重みを噛みしめるのもよし。
尚且つ古臭い言葉は使われておらず、時代を超えて読み継がれるべき最高の純文学です。
【読ませる魔力の長編】江戸川乱歩『黒蜥蜴』
- 読みやすさ:★★★★⭐︎
- 沼り度 :★★★★⭐︎
江戸川乱歩『黒蜥蜴』は、推理小説としても一級品の面白さ、耽美小説としても一級品の美しさ、恋愛小説としても一級品のロマンチックさ、変態小説としても一級品のアブノーマルさ、そしてどのジャンルも好きじゃない人が読んでもテンポがよく、意外性があり、言葉選びも魅力的で、最強すぎる文学。
Twitter、おに@変態文学大学生
これは私の意味不明な読書アカウントでまあまあ反響のあった『黒蜥蜴』についてのツイートです。
江戸川乱歩作品は何作も読んでいますが、比較的どの作品も純文学の中では読みやすいのです。
優れた短編作品がいくつもありますが、今回は、沼にハメる純文学なのでこちらの『黒蜥蜴』を…。
こちら、中長編なのですが、恐ろしくすらすらと読めてしまいます。
何十年も前の作品であるということを忘れてしまうくらいに…。
女盗賊「黒蜥蜴」による、世にも妖しく美しい泥棒の物語です。
女盗賊が欲するものは、単に金目のものではありません。
美しいもの。しかも、それは命あるもの、ないものを問わないのです。
もうこの時点で色々お察しかとは思いますが、もう、兎にも角にも美しいもののオンパレードです。
それでいて、本としての技巧にも優れている。
純文学の読みにくさに抵抗のある人、長編に抵抗のある人、さらには純文学の妖しい世界に沼りたい人、全てに必見です。
【読むドラッグ】夢野久作『死後の恋』
- 読みやすさ:★★★★★★
- 沼り度 :★★★★★★
さあ、この辺から本気で皆さんを沼にはめていきますよ。
あの日本四大奇書の一つ『ドグラ・マグラ』を書いた夢野久作。
何を隠そう彼は推理小説の天才です。
イカれた欲望を持ちながら、意外にもかなり読書フレンドリーな物語を書きます。
中でも夢野の傑作短編と称されるのは、別の記事でも紹介した『瓶詰の地獄』とこの『死後の恋』。
もうめちゃくちゃベタな言い方をすると、次の展開が気になって気になってしょうがない感じ。
ある男の、「死後の恋」という奇妙な事柄についての独白によって話が進みます。
この小説、こんなに面白くて読者フレンドリーなのに、全くもって万人向けではありません。
え?だって他の記事で、おすすめ(純)文学トップ10に夢野久作が出てきたことなんてありますか?
万人向けのトップ10に夢野久作がランクインすることなんて、天と地がひっくり返ってもありえないんです。
全世界読んでいたらアレ認定される作家選手権上位常連の作家ですからね…(私調べ)
とにかくネタバレが命とりなお話ですから、読んでみてください。
美しいものに惹かれる人間の心、そして人の死というものの呪いにも似た拘束力。
小説として最高に面白いのに、耽美作品としても最高峰の夢野久作の世界を堪能してください。
そして読み終わった後、あなたはまた別の夢野久作作品を読みたくなるでしょう…
夢野久作はまさに読むドラッグですよ…
【圧倒的美文に酔いしれる】川端康成『雪国』
- 読みやすさ:★★★⭐︎⭐︎
- 沼り度 :★★★★★★
【警告】これを読んでしまったらもうあなたは純文学の世界からは逃れられません
批判を覚悟で断言します。これは格が違います。
先ほど純文学の価値は「台詞」の重さにある、と言いましたが、もう一つ。
それは、文自体の美しさです。
川端康成は色々読んでいくと「えっ、超キモいじゃん」となる作家なのですが、
彼はノーベル文学賞受賞作家。
格が違います。
特にこの『雪国』。意外と短めの話なのですが、読むのにめちゃくちゃ時間がかかりました。
それは読みにくかったということではないんです。
あまりにも、文が美しすぎるのです。
表現が秀逸すぎるのです。
数ページに一度は、「嘘でしょ…」「凄すぎる…」と感嘆せずにはいられないような表現が出てくるのです。
その度に愕然とし、陶酔し、倒れ込み、噛み締め、「凄すぎる」と人に報告し、また読み直し…
そんなことをしている間にめちゃくちゃ時間がかかってしまった、ということなのです。
私はこれほど読書で感動したことは後にも先にもないです。
それこそは、純文学のなせる技。
ただ、純粋に、文章の美しさだけを楽しむということを知りました。
この最高峰の文学を知ってしまえば、もうあなたは戻れません。
晴れて純文学沼へようこそ。
一生ここでねんねしましょうね…
【ロシアの文豪のユーモア】ゴーゴリ『鼻』
- 読みやすさ:★★★⭐︎⭐︎
- 沼り度 :★★★⭐︎⭐︎
鼻です。
ある朝目が覚めると「毒虫」になっていたカフカの『変身』は有名ですよね。
それはあまりにも有名すぎるので、捻くれ者の私はみなさんを沼にハメるため、こちらゴーゴリの『鼻』を紹介します。
ある朝目を覚ますと、鼻がありませんでした。
意味不明です。
鼻の断面はホットケーキみたいにつるつるです。ファンタジー。
川端康成『片腕』もそうですが、超現実な純文学もいいんです。
そこになんか意味らしきものがあれば。(テキトー)
しかも、もっと酷いことに、鼻はスーツを着て普通に生活しています。
この辺でもう普通に吹き出します。
最新のバラエティに鍛え抜かれているはずの現代人が、1800年の意味不明小説で吹き出すんですよ?
超ウケない?
もうツッコミどころ多すぎて、なのにどんどんどこにも突っ込まずに話が進んでいくんだもん。
ふざけてませんよ!ゴーゴリはロシアの文豪ですから!
代表作『外套』は、あのドストエフスキーに「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出たのだ」と言わしめたほどです。
だから超、ちゃんとした文学です。
純文学だって超自由で、やりたい放題で、普通に笑えるんだぞ、ということをお伝えするためにこれを選出致しました。
決して、ふざけてるわけではないんですよ…
【芸術至上主義の傑作】芥川龍之介『地獄変』
- 読みやすさ:★★★★⭐︎
- 沼り度 :★★★★★
烈々とした火炎の色。舞い狂う火の粉と黒煙の中で、黒髪を乱して悶え苦しむ美女。「地獄変」の絵を描くために傲慢な絵師が求めたものと失ったものとは……?
芥川龍之介『地獄変』、新潮文庫
ちょっとどこまでネタバレして良いものか迷ったので、新潮文庫のあらすじを引用させてもらいました。
芥川には『蜘蛛の糸』『羅生門』などの代表作、『歯車』などの鬼気迫る晩年期の作品など優れたものが多数。
が、「沼り度」という点から見ればこれはもう『地獄変』を推すしかないでしょう。
芸術至上主義。
厨二病は誰しもその言葉を聞いた瞬間ときめいてしまう。
人生において芸術を至上のものとする絵師が、自らの思想を貫きます。
愛とか友情とか、優しさとか生活とか、生きることとか。
そういうものよりも芸術や美を優先すること。
それはきっと恐ろしくて困難であり、だからこそ愉悦なのかもしれませんね。
個人的意見ですが、三島由紀夫『金閣寺』と、この『地獄変』には妙な魔力があります。
何だか人生を持っていかれてしまいそうな。
私は持ってかれました。
その結果、大学も行かずに謎の読書活動ばかりしているんです…
【社会主義体制×マゾヒズム】谷崎潤一郎『小さな王国』
- 読みやすさ:★★★★⭐︎
- 沼り度 :★★★★★★
政治に関心のなかった谷崎の、ほぼ唯一の政治的モチーフを扱った作品。
谷崎潤一郎、何を隠そう私の一番好きな作家です。
文学の世界ではド級の脚フェチとして数々の作品を残していきました。
しかし変態侮るなかれ。
彼の小説はどれもこれも話の筋がめちゃくちゃに面白い。
「内容がない」「起伏がない」「何も起こらない」
なんてイメージの純文学を覆す、超絶怒涛の展開がいつも繰り広げられます。
『痴人の愛』『鍵』『秘密』『卍』『春琴抄』…どれも超絶面白い。
恍惚とするような文章と、予想不可能な展開。
しかし今回は、その中でも異色の短編『小さな王国』。
教師をしている主人公の転任先に、謎の少年が転校してきます。
その少年の転校をきっかけに、クラスには大きな変化が。
遅刻・サボり・授業態度・寄り道、すべてに秩序が保たれ、さらには謎の貨幣制度も導入。
裕福な家の子のものを貧しい家の子にまで、富を再分配していきます。
しかし、独裁というわけではないんです。
みんな、少年を慕っていて、幸せそうに暮らしているんですよね。
それを見ていた主人公にも、心境に変化が訪れます。
短編にギュギュッと詰まった社会主義体制モデル。
面白すぎて、読後、社会主義的モチーフを扱った原点ともいえるようなトマス・モア『ユートピア』まで読みました。
そして政治的な作品の中にも、谷崎のマゾヒズム的な要素は生きているんです…
それを読み取って見てください…
【すべての少年少女へ】大江健三郎『性的人間』
- 読みやすさ:★★⭐︎⭐︎⭐︎
- 沼り度 :★★★⭐︎⭐︎
川端康成と並んで、ノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎の代表作です。
題名といい、勧めている人(私)といい、直球変態小説と思うでしょうか?
色々はしょると、嵐のような詩を書くために痴漢に命を燃やす少年と、それを見て痴漢に走る大人の話です。
いや、はしょっちゃダメなんですけど。
でも、私は面白おかしく読む中で、より深く読みこめたら良いじゃないか!と思っているので、あえてこう紹介します。
真面目な話、ここでの「性的人間」というのは、時代の「政治的人間」に対しての言葉です。
前半、読みにくさはありますが、ジンを飲みながら人生彷徨い中の若者達がつるんでいるのなんか、まさに今の「エモい」。
後半は例の少年が出てきたりして、それこそ鋭利な少年の心情が人生一生中二病の我々なんかには突き刺さります。
最高ですよ、大江健三郎。
『セヴンティーン』なんかもそうですが、心に少年少女を飼っている人なんかには痛いほど刺さるんです。
【世界に誇るプロレタリア文学】小林多喜二『蟹工船』
- 読みやすさ:★★⭐︎⭐︎⭐︎
- 沼り度 :★★★★★
「おい地獄さいぐんだで!」
小林多喜二『蟹工船・党生活者』、新潮文庫
の冒頭から始まる、世界史・日本史に必ず出てくるプロレタリア文学の名著ですね。
「プロレタリア文学とかつまんなそ〜」「堅苦しそう〜」
そう思っている方。私もそう思っていました。
なんとなく、函館に行く予定があって、函館ゆかりの文学を調べていたところ『蟹工船』が出てきたので読んでみました。
沼でした。
多分裕福な家で育った箱入り娘なんかはちっとも響かないのかもしれません。
貧乏あがり、森育ち、小学生の頃はオンコノミなんか食って生きてたぜって人は心を鷲掴みにされます。
蟹工船は、「航船」ではなく「工船」だから、地上の法も、航海法も通用しない。
そのために底の底まで落ちた労働環境の中、ゴミのように扱われている男達が、ストライキを起こす話です。
「組織」「闘争」ーこの初めて知った偉大な経験を担って、漁夫、年若い雑夫等が、警察の門から色々な労働の層へ、それぞれ入り込んでいったということ。
小林多喜二『蟹工船・党生活者』、新潮文庫
この最後の文に力強さが溢れている。
実際は、共産主義に傾倒した多喜二は特高警察によって虐殺されてしまうのですが、ここには希望があった。
何だかとても湧き上がるもののある文学で、読まず嫌いしていたのが恥ずかしいほどです。
※なお、当時日本共産党は唯一戦争の反対と人民の解放を主張し続けた党だったので、必ずしも今の感覚とは違います。
【番外編】アルフレッド・ド・ミュッセ『ガミアニ伯夫人』
- 読みやすさ:★★★★⭐︎
- 沼り度 :★★★★★
ちょっと表紙がアレだったので画像無しです。
「ホットなフィーリングをのせて世界のポルノグラフィがやってくる」
軽快なキャッチコピー、今は絶版の富士見ロマン文庫の作品です。
つまり官能小説です。
が、この作者ミュッセは、ロマン主義四大詩人の一人と称されるほどの詩人です。
その彼が描いたこの『ガミアニ伯夫人』は、好色小説の古典とも言われています。
この『ガミアニ』、普通の官能小説とは違って、直接的な卑猥な単語はほとんど使われていません。
女性心理の微細なあやを巧緻に描くことにかけては右に出るものがない。
アルフレッド・ド・ミュッセ『ガミアニ伯夫人』、ロマン文庫
このように、エロさよりも女主人公の心情に力が入っています。
官能小説に抵抗感がある人も、読んでみる価値が大いにあります。
さらに、女主人公の体験は常軌を逸したものばかりで、官能小説としてももちろん刺激的に楽しめます。
純文学、というべきなのかはわかりませんが、好色小説の古典ということで番外編で入れてみました。
純文学こそ人生に一番作用する話
私は純文学こそ、人生に一番作用すると思っています。
純文学は、やはり大衆文学(というか、エンタメ性重視の文学)とは一線を画します。
ドラマチックな展開があるわけではない、びっくりするようなトリックが仕掛けられているわけでもない。
少女漫画のようなときめく恋が描かれているわけでもない。
基本的には人間や社会の、醜い・汚い・見せたくない・見たくないような部分が描かれています。
でも、だからこそ、本当に悩んだ時・苦しんだ時・孤独な時、そういう時に響くんです。
その時ダイレクトに悩みとマッチしなくても、それを知っているだけで、いつか悩んだ時、きっと助けてくれます。
さらに、自分では解消できないような欲望の現実逃避先にもなってくれます。
現実逃避したって良いじゃないですか。
ユイスマンスや江戸川乱歩の描く主人公なんて大体ずっと現実逃避してますよ。
そういうのも、何か「とどまれる」ために、必要なんです。
私は、小学生の頃から文学が好きでしたが、実は中学生の時、純文学ではなくライトノベルばかり読んでいたんです。
オタクですからね、当たり前です。
ライトノベルやエンタメ小説も面白いですよ。
ケラケラ笑って読んでました。
でも、教科書で山川方夫『夏の葬列』を読んだ時に衝撃が。
同世代の方なら読んだことある人、いると思うのですが、とんでもない話なんですよね。
戦争中の話、罪の意識に苛まれた主人公が、その罪を許されることもなく、背負い続ける…という。
それを読んで、やっぱり純文学の「強さ」にハッとさせられました。
読んだエンタメ小説・ライトノベルは「あれ?どんな内容だったっけ」となること多数。
しかし重くて暗くて陰湿でズンとくる…そんな純文学は一生頭に残ります。
そして悲しいことや、苦しいことがあった時、思い出すんです。
坂口安吾の『堕落論』の「生きろ、堕ちよ」という有名な言葉がありますが、苦しんだ時、堕ちることが効くんです。
だから、私が純文学を推していきます。
でも、「読みづらい」「つまらない」と感じるものも多いので、比較的読みやすいものを11選しました。
是非沼にハマってください!