「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」
夏目漱石『草枕』、新潮文庫
熊本といえば夏目漱石『草枕』の舞台。
熊本といえば焼酎のイメージが強い九州の中でも日本酒が美味。
初めまして。
全国酒が美味い土地・文豪ゆかりの土地を求め、全国を巡っている大学生です。
コロナ前はその人生の春休みとも言える身分を生かして月1ペースで旅していましいた。
そんな筆者の【日本酒と文学の旅】熊本・夏目漱石『草枕』編。
実際に行ってみた私による、熊本の渋〜い魅力全開のガイドです(*^o^*)
熊本への交通手段
出発地点は様々ですが、とりあえず九州以外からならどっちか。

札幌のチョコ専門店「ショコラティエマサール」新千歳空港店で『草枕』予習しました。
【経由パターン】▶︎福岡▶︎熊本
LCCだとこのパターン。
スカイチケットとかで比較して最安でいつも行ってます。
ANAとかJALでも時期によっては安かったりします。
福岡で明太子変えるのでおすすめ。(あとで登場します)
私は行きはこちらでした。(同時に長崎も行ったので長崎着の飛行機ですが)
高速バスで福岡▶︎熊本なら、結構安く出ています。
【直行パターン】▶︎熊本
LCCを愛する大学生の私ですが、今回帰りは熊本空港からの直行便。
ですが地方の小さめの空港の面白さに気づく。
お土産屋さんも超小規模。
多分熊本市内で買っておいた方が無難です。
ですが、ランチはとっても美味しかったです。
馬刺し御膳的なのを頼みました。
前日スルメの食べすぎで歯が死んでいたのですが、美味しくて完食しました。

食べログのリンク載せようと思ったんですが、食べログはおろか、公式サイトも何もありませんでした。
マイペースでいいいでしょ。
いざ、夏目漱石『草枕』の舞台巡りへ
それではここからが【日本酒と文学の旅】本番。
いざ、夏目漱石『草枕』の舞台廻りへ。
『草枕』の温泉「小天温泉 那古井館」
夜に熊本に着いたのでいきなり夜です。
今回の旅のメインの一つ。
『草枕』で「那古井の温泉」と出てくるのはここ小天温泉のこと。
実際に漱石が泊まった「前田家」には泊まれないので(後述)、小天温泉にゆったり浸かれる「那古井館」に泊まりました。
小天温泉 那古井館(2018年4月リニューアルオープン)温泉街ではなく、静かな住宅街にポツンと佇んでいます。
柔らかい光に包まれて厳かで、とりあえずここで既に感動。

こちらは朝撮った宿の庭園です。生憎の雨でしたが素敵。

到着が遅かったので早速夜ご飯。
旅の楽しみ、ずらっと並んだ宿の夜ご飯。
日本の献立は、吸物でも、口取でも、刺身でも物奇麗に出来る。会席膳を前へ置いて、一箸も着けずに、眺めたまま帰っても、目の保養から云えば、御茶屋へ上がった甲斐は充分ある。
夏目漱石『草枕』、新潮文庫
と漱石は言っています。
ちょっと、眺めて帰るは言い過ぎですが、見て楽しめるのも日本料理のいいところですよね。
馬刺しかアワビか選べたので、もちろん熊本なので馬刺しを選びました。

事前に口コミを調べましたが、そこでも料理の美味しさは評判でした。
美味しくて大満足。
ちなみに到着時間に遅れたのに宿の人はとても優しかったです…
なんかいる。

お待ちかねの日本酒。

詳しくは後半に書きましたが、地酒もちゃんと美味しいのが4種類ありました。
あ、ちなみに徒歩圏内にはセブンイレブンしかないのでガッツリ飲みたい人は色々買い物済ませてから来ましょう。
宿はどこもかしこも『草枕』。
多分全部ちゃんと読んではいない人のために絵本版『草枕』まで!
この『草枕』、ただでさえ起伏のない話の『草枕』の、趣深いところが絶妙に削られていて、意味不明な出来で笑った。
料理を運んでくれた女の人とも、「この絵本意味わかんないですね」って笑いあったりして和みました。
部屋とかお風呂。
温泉は、明治元年創業の天然かけ流しです。
春の夜の温泉の曇りばかりは、浴するものの肌を、柔らかきにつつんで、古き世の男かとわれを疑わしむる。
夏目漱石『草枕』、新潮文庫
漱石に想いを馳せながら、ゆっくり浸かる温泉は格別です。
朝ごはんです。
朝からガッツリ。これから前田家をじっくり堪能するのできちんと食べました。
那古井館、とても良かったです。
漱石好き、文学好きの人はもちろん、美味しい料理や、温泉街でない温泉でゆっくりしたい人は是非。
漱石が気に入って本まで書いたのも納得でした。
『草枕』の舞台「前田家別邸」
二日目、『草枕』の実際の舞台となった前田家別邸見学です。
第五高等学校教授時代に、妻と喧嘩した漱石が世話になった前田家の別邸。
なんと一般公開されています。
しかも無料。
当主・前田案山子氏の写真でお出迎え。
こちらは漱石が実際に宿泊していた「離れ」。
なんと現存していて、しかも靴を脱いで上がれちゃいます。

実際に座って見て、これが漱石の眺めた風景か…とか思ったり。
机の上に置いてあるのは訪問者のコメントノートです。

これは外観。渋いですね〜、渋すぎる。

これは多分本館跡地です。

これは浴室。
明治時代の貴重なセメントづくりらしく、ここは見るだけでした。
『草枕』の名場面、男湯に「那美さん」が突然現れてラッキースケベにドキドキしちゃうシーンの舞台。

これは後述の『草枕交流館』で教えてもらったのですが…
昔の浴室は、お湯が男湯に流れてから、溢れたものが女湯に流れる仕組みだったそう。
だから、女湯は温度がぬるかったらしく、それで「那美さん」は誰もいないと思って熱い男湯に入ってきたらしい。

管理人も他の観光客もいなくて、「勝手に入っていいの…??」と不安になりましたが、慣れれば貸切状態で満喫できました。
『草枕』について深く知る「玉名市草枕交流館」
『草枕』の歴史資料館兼、周辺観光案内所である「玉名市草枕交流館」にも行きました。
前述したように、お風呂のあれこれや、漱石のあれこれ、前田家の歴史などが知れます。
ビデオの他にも、こちらもほぼ貸切なので口頭でもたくさん説明してくれました。
本当は、『草枕』の冒頭で漱石が歩いてきた道も歩きたかったのですが、こちらで聞いたところ、かなり時間がかかるとのこと。
更に大雨もあったので、断念しました。
他にも、日帰りで入浴できる「草枕温泉てんすい」や、紹介した場所の詳細が書いてあるサイトを貼っておきます。
熊本に行く方は是非。
実際飲んだ!熊本の美味い日本酒まとめ
文学も大好きですが、旅にはやっぱり地酒な筆者です。
大体知らない土地に旅に行ったら地酒爆飲み&地酒爆買いですよね。
実際に飲んでしか分からない、正直な感想と、好きポイント。
地元の酒屋に行ってしか分からない情報などを中心に紹介していきます。
★お気に入り酒屋▶︎いのもと酒店
熊本では、3店舗くらい酒屋を巡ったのですが、地酒が一番豊富だったのは「いのもと酒店」さんでした。
他の2店舗も良さげな酒屋さんだったのですが、地酒が意外と少なかった…
酒屋あるある、意外と地酒がない、ですね。
写真は宮崎の地酒との合同写真ですが、こんな感じ。

大体一回の旅でこれくらい日本酒を買います。
お土産代全部日本酒にベットしてます。
お任せください。
「いのもと酒店」さんは、めちゃくちゃ広くて、店員さんも優しく、「地酒が良い!」という気持ちに沿ってお酒を勧めてくれました。
外観写真撮りたかったんですが、車がたくさん止まっていて画像処理が大掛かりになりそうだったので断念。
公式ページだけ貼っておきます。
【熊本の名酒といえばコレ】純米大吟醸 花の香 桜花
- 名前: 花の香 桜花
- 値段:四合1500円くらい
- 種類:純米大吟醸
- 酒造:花の香酒造
- 米:山田錦100%
- 精米歩合:麹米50%/掛米50%
- おすすめポイント:文句なしに誰が飲んでも美味

熊本の名酒といえば「花の香」。
どのランキングでも常連ですね。
宿のお酒メニューにもイチオシな感じで有りました
文句なしに美味いです。
無事、次の日酒屋でお土産に買いました。
私の住む北海道では中々手に入らないお酒なのですが、良い感じの小料理屋さんで一度だけ再会を果たしました。
その時、また飲みましたが、やはり美味。
旅補正なしで美味しいお酒ってことですね〜
熊本の地酒を楽しみたいなら外せない一品!
【本当に地元でしか買えない】産山村
- 名前: 産山村
- 値段:四合1600円くらい
- 種類:純米吟醸
- 酒造:千代の園酒造
- 米:五百万石
- 精米歩合:55%
- 日本酒度:+4
- おすすめポイント:本当に熊本にしか出回っていないお酒

酒屋さんに、本当に熊本にしか流通していないお酒として紹介されました。
鯉農法という、鯉に害虫などを食べさせて無農薬で育てたお米で作られた、阿蘇の産山村で作られたお酒です。
そのな製法といい、本当に県外の店舗、アマゾン、楽天などにないという事実といい…
地酒好きにはたまらない!
レアなだけじゃなく、味もちゃんと美味しいお酒です。
【キリッと澄んだレア酒】泰斗
- 名前: 泰山北斗 泰斗
- 値段:四合3000円くらい
- 種類:純米大吟醸
- 酒造:千代の園酒造
- 精米歩合:45%
- 日本酒度:+0.5
- おすすめポイント:「くまもと酒文化の会」イチオシの酒
『地元・熊本でも他県に負けない旨い日本酒が製造され、その地元の旨い酒を売りたい』との想いで発足された「くまもと酒文化の会」
そのイチオシの地酒、「泰斗」シリーズです。
購入した純米大吟醸は20周年記念限定品でもう手に入らないみたいですが…
純米吟醸はいまだに熊本の地酒として人気が高いものです。
Yahooと先ほどの千代の園のサイトでのみ取り扱い。
【どっしり本醸造】香露
- 名前: 香露 上撰 本醸造
- 値段:一升2300円くらい
- 種類:上撰 本醸造
- 日本酒度:±0
- おすすめポイント:刺身や酢の物に合う渋い地酒
熊本県酒造研究所のお酒、香露。
ボトルの見た目から漂う渋さ。
日常の飲みに適した価格。
これはじじい好みのお酒でまた他の3つとは違った美味しさがありました…!
終わりに
夏目漱石が『草枕』で桃源郷とも言った小天の地。
九州随一のこだわりの地酒。
ここには書きませんでしたがご飯も最高でしたよ…!
そんな最高の熊本に実際に行ってみるもよし。
地酒で熊本気分を味わうもよし。
どうぞみなさん熊本をお楽しみください…!